こんにちは大阪市天王寺区上本町の上本町NEWYOU歯科・矯正歯科です。
本日は金属床義歯のメリット・デメリットについてまとめたのでご紹介いたします。
金属床義歯のメリット・デメリット
歯を失った際の代表的な治療方法の一つに「義歯(入れ歯)」があります。保険診療で作られる入れ歯は主にプラスチック製(レジン床義歯)ですが、見た目や使用感、耐久性を重視した自費診療では、「金属床義歯(きんぞくしょうぎし)」が選ばれることもあります。
金属床義歯は、その名の通り、口腔内に接する「床(しょう)」の部分に金属が使われている入れ歯です。ここでは、その特徴を踏まえたうえで、金属床義歯のメリットとデメリットを詳しく解説します。
■ 金属床義歯とは?
義歯は大きく分けて「総義歯(総入れ歯)」と「部分義歯(部分入れ歯)」の2種類があり、どちらにも金属床を用いることが可能です。金属床義歯では、口蓋(上あごの天井部分)や舌側の床など、口腔内に接する部分にコバルトクロム、チタン、金合金などの金属素材が使用されます。
保険診療で作られる義歯(レジン床)はプラスチックのため、厚みが必要ですが、金属は強度が高いため、薄く・軽く作ることができるという特徴があります。
金属床義歯のメリット
1. 薄くて軽く、装着感が良い
金属はプラスチックに比べて強度が高いため、非常に薄く作ることができます。レジン床義歯では2~3mmの厚みが必要ですが、金属床では約0.5mm程度にすることも可能です。これにより口の中での違和感や異物感が大幅に軽減されます。
特に上あごの総入れ歯では、口蓋を広く覆う必要がありますが、金属床にすることで薄く快適に仕上がり、発音や食事時の感覚が自然になります。
2. 熱の伝わりがよく、食事がおいしく感じられる
金属は熱伝導性に優れているため、食べ物や飲み物の温度が口の中にしっかり伝わります。これにより、冷たいものは冷たく、温かいものは温かく感じられ、味覚や食事の楽しさを損ないにくくなります。
プラスチック床義歯の場合、熱が伝わりにくいため、温度を感じにくくなるという欠点があります。
3. 耐久性・安定性に優れている
金属は摩耗や変形に強いため、長期的に使用しても変質しにくく、耐久性が高いのが特徴です。また、歪みにくいため、しっかりとしたフィット感を長く維持できます。
部分入れ歯の場合、金属のフレーム構造によって噛む力を均等に分散できるため、残っている自分の歯(残存歯)への負担も軽減できます。
4. 自由設計が可能で審美性にも配慮できる
自費診療で作られるため、設計や素材選択の自由度が高く、審美性にも配慮した設計が可能です。クラスプ(バネ)の位置や形状も調整できるため、目立ちにくいデザインにすることができます。
金属床義歯のデメリット
1. 保険適用外で高額になる
金属床義歯は基本的に保険診療の対象外となるため、自費診療となり、費用が高額です。使用する金属の種類や義歯の大きさ、設計の複雑さによって費用は異なりますが、一般的に10万円〜50万円以上かかることがあります。
このため、経済的な負担がネックとなり、選択をためらう方も少なくありません。
2. 製作に時間がかかる
金属床義歯は精密な設計と高い技術を要するため、製作に時間がかかります。歯科医院での型取り後、技工所での加工・鋳造などの工程が必要であり、完成までに数週間以上かかることが一般的です。
また、万一修理や調整が必要になった場合も、保険の入れ歯より手間と時間がかかることがあります。
3. 金属アレルギーのリスク
使用する金属の種類によっては、金属アレルギーを引き起こすリスクがあります。特にコバルトクロムやニッケルなどにアレルギーがある方は注意が必要です。
ただし、チタンなどアレルギーのリスクが極めて低い金属を使用することも可能ですので、事前に歯科医師と相談することが大切です。
4. 修理や調整が難しい場合がある
金属床は耐久性が高い反面、壊れた場合や歯が追加で失われた場合に修理が難しいことがあります。レジン床であれば比較的簡単に修理できますが、金属床の場合は修理のたびに再製作が必要になるケースもあります。
また、口腔内の変化(顎の骨が痩せる、残存歯が抜けるなど)に対応する柔軟性がレジン床に比べて低いという一面もあります。
おわりに
金属床義歯は、装着感の快適さ、食事のしやすさ、耐久性など、多くの面で非常に優れた入れ歯です。特に「違和感の少ない入れ歯を使いたい」「快適に食事を楽しみたい」「見た目にもこだわりたい」といったニーズに応えることができます。
一方で、費用面や製作期間、修理の難しさなど、デメリットも存在します。そのため、金属床義歯を選ぶ際には、現在の口腔内の状態、将来的な見通し、経済的な事情などを含めて、歯科医師と十分に相談することが重要です。
保険診療のレジン床義歯にも利点はあり、必ずしも金属床が「優れている」とは一概には言えません。自分にとって何を優先するのかを見極めた上で、最適な義歯を選択することが、快適な口腔ケアと生活の質向上につながるのです。