こんにちは、大阪市天王寺区上本町の上本町NEWYOU歯科・矯正歯科です。大阪市天王寺区上本町の上本町NEWYOU歯科・矯正歯科です。本日から入れ歯についての記事をご紹介いたします。
入れ歯があわない原因
高齢化社会が進む現代において、入れ歯(義歯)の利用者は増加傾向にあります。しかし、多くの患者が「入れ歯があわない」「痛い」「噛めない」といった不快感を訴えています。入れ歯があわない原因は一つではなく、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。以下に、代表的な原因を解説します。
1. 顎骨や口腔内の変化
最も大きな要因の一つは、顎骨や口腔内の形状の変化です。歯を失うと、顎の骨(特に歯槽骨)は徐々に吸収されていき、形が変わっていきます。この骨の吸収により、時間の経過とともに入れ歯の土台となる歯ぐきが変形し、かつてはぴったりだった入れ歯も合わなくなってしまいます。
また、歯ぐき(粘膜)の状態も影響します。入れ歯の圧力やこすれによって粘膜が炎症を起こしたり、過敏になったりすると、わずかなズレでも痛みを感じるようになります。
2. 入れ歯の設計や調整の問題
入れ歯は個々の患者の口腔内に合わせて精密に作られますが、その過程において精度に差が出ることがあります。採取した型(印象)が不正確であったり、咬合(かみ合わせ)の調整が不十分であった場合、最終的な入れ歯が口腔内にフィットしないことがあります。
また、完成後も継続的な調整が必要ですが、調整が適切に行われていないと、「痛む」「浮いてしまう」「食べ物が詰まる」といった問題が生じます。特に総入れ歯の場合は、吸着力や咬合のバランスが重要で、わずかな不整合でも使い心地に大きな差が出ます。
3. 患者の使い方の問題
入れ歯に不慣れな人が、正しい使い方を知らずに不快感を訴えることも少なくありません。例えば、装着時に強く噛みしめすぎたり、清掃を怠って入れ歯や歯ぐきに汚れがたまると、違和感や炎症の原因になります。
また、入れ歯を使用するにはある程度のトレーニングが必要です。特に発音や咀嚼(そしゃく)には慣れが必要であり、装着初期には違和感が強く、食べ物が噛みにくいと感じるのは自然なことです。しかし、それを「合わない」と早合点し、放置してしまうと口腔内にさらなる問題が起こる可能性があります。
4. 咬合(かみ合わせ)の不調和
入れ歯の咬合が適切でない場合、かみ合わせのズレが発生します。これは単なる違和感だけでなく、顎関節や咀嚼筋に負担をかけ、頭痛、肩こり、耳鳴りなど全身症状にもつながることがあります。
また、咬合の問題により、一部の歯や歯ぐきに過度の負担がかかり、痛みや口内炎の原因にもなります。特に片側ばかりで噛む癖がある人は注意が必要です。
5. 精神的・心理的な要因
入れ歯に対する抵抗感やストレスも、「合わない」と感じる一因になります。入れ歯に対する不安や不信感があると、少しの違和感も過剰に感じてしまうことがあります。これは「義歯異物感」とも呼ばれ、精神的要因が影響するケースです。
また、うつ状態や不安障害のある人は、口腔内の違和感を訴える傾向が強く、実際には入れ歯に大きな問題がなくても「使いにくい」と感じてしまう場合があります。
6. 加齢や全身疾患の影響
高齢になると、口腔内の感覚が鈍くなったり、唾液の分泌が減少したりします。唾液は入れ歯の吸着を助ける重要な要素であるため、唾液が少ないと入れ歯がずれやすくなり、不快感が増します。
また、糖尿病やパーキンソン病、関節リウマチなどの全身疾患も、入れ歯の使用感に影響を与えることがあります。例えば、指先が不自由で入れ歯の着脱や清掃が難しい、粘膜が過敏で痛みを感じやすい、といったことが挙げられます。
おわりに
入れ歯があわない原因は多岐にわたり、単に「作り方が悪い」「慣れていない」という単純なものではありません。顎や粘膜の変化、設計や調整の問題、患者側の使い方や心理的要因、さらには全身の健康状態など、総合的に診断することが重要です。
入れ歯に違和感を感じた際は、自分で判断せず、歯科医師に相談し、必要に応じて再調整や再作製を行うことが大切です。また、定期的なメンテナンスや正しい使い方の指導を受けることで、入れ歯の快適な使用が可能となります。入れ歯は単なる「代用品」ではなく、健康な生活を支える「第二の歯」であるという意識を持ち、丁寧に扱っていくことが望まれます。